商業史レポートA「越後屋・三井八郎兵衛高利」


11.まとめ


 三井高利の新商法は、いずれも庶民の心をよく理解したものであり、また、経済の力が大名や武家から町人に移るという時代の流れを見事に捉えたものであった。政治を後ろ盾とした豪商たちとは一線を画し、店前現銀無掛値などに見られる進取の気質で、既存の商いを打破して庶民層の需要に応えたところに、商人らしい心意気が感じられる。
 『商人群像』に続き、『現銀掛値無しに仕り候 三井高利覚書』に何気なく目を通したことから、当レポートを作成することとなった。豪商たちの経営手法や商人精神には、現代に通ずる知恵が多くあることを実感させられる。今後も引き続き、彼らの文献に目を通していきたい。


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